横綱とは…
大相撲の横綱は、江戸時代の初代、明石志賀之助から72代の稀勢の里まで、長い歴史のなかでも72人しかいません。
全力士の頂点、横綱に昇進するためにはどんな条件があって、昇進に合わせて行う行事とはどんなものなのか、改めて見てみたいと思います。
横綱に昇進するための条件
日本相撲協会の横綱審議委員会という組織が横綱を推薦する決まりをまとめています。それによりますと「品格・力量が抜群であること」「大関で二場所連続優勝、またはこれに準ずる好成績を挙げる」が条件となっています。
横綱審議委員会でふさわしいと決めると、そのあとの番付編成会議と理事会で横綱昇進を正式に決めます。そして日本相撲協会から理事と審判委員が使者になって、昇進が決まったことを力士と師匠に伝える伝達式が行われます。この時に大関から昇進した力士は横綱になる決意を口上として述べます。
横綱になったときの行事
伝達式の翌日には横綱の綱打ちが行われます。土俵入りの型を雲龍型にするか不知火型にするかを決めて綱を打って、横綱経験者の親方の指導で土俵入りの稽古をします。
伝達式の2日後に、東京の明治神宮で横綱推挙式が行われ、推挙状と横綱が授与されます。続いて横綱になって初めての奉納土俵入りが行われ、大勢の人たちが新横綱の晴れ姿を見ようと明治神宮に詰めかけます。
大関に陥落はあるが…横綱は…
大関は2場所続けて負け越すと関脇に陥落します。しかし横綱は何場所負け越しても大関への陥落はありません。あるのは引退だけです。
成績不振で横綱を返上したいと言った人や、横綱で初めて負け越して引退を申し出た人もいましたが、いずれも認められませんでした。
稀勢の里は平成29年の夏場所から8場所続けて休場するなど成績が振るわず、横綱審議委員会から「激励」を決議されました。そして平成31年初場所、初日から3連敗して引退しました。
休場が続いて横綱審議委員会から「注意」を決議された鶴竜は令和3年春場所も休場して再起を期しましたが、春場所11日目の3月24日に「中途半端な状態で土俵に上がるわけにはいかない」とけじめをつけて引退しました。
横綱は昇進した者にしか分からない責任と向き合い、日々重圧と戦っているのです。
横綱に求められる【品格】
成績が残せない横綱は降格ではなく、引退勧告を受けることになる。そして、ほかの力士の見本になるような「品格」。だからこそ、大関以下の力士では不問にされることでも、横綱は批判されるケースもあるのだ。
相撲協会では「品格」を以下のように定めている。
- 相撲に精進する気迫
- 地位に対する責任感
- 社会に対する責任感
- 常識ある生活態度
- その他横綱として求められる事項
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